中級者向け

【2025年版】M5Stackの選び方 – 音楽制作に使える4つのアイディア

マイコン開発の世界で人気の高いM5Stackシリーズ
とくにRTK測位やIoT制御に関心がある方にとっては、u-blox ZED-F9Pを搭載した「M5F9P」などのGNSSモジュールと組み合わせて使うことで、強力なシステムを簡単に構築できます。

M5F9Pに関しては筆者の個人ブログのサイトでも紹介していきますので、GPSや家庭菜園に興味のある方はぜひ遊びにきてください。

朝比奈幸太郎個人ブログ

さて、「M5Stack」と一口に言っても検索してみると種類が多く、どれを選べばよいのか分からない!という声をよく聞きます。

本記事では、用途別にM5Stackのモデルを比較・解説しながら、「RTK×家庭菜園」や「自動制御」などの実践プロジェクトに適したモデルをご紹介します。

また、もちろんオーディオ関係の制御にも使えます。
例えば先日の記事で紹介したRevox B77(A77)の遠隔制御。
記事の中では経費を抑えるために、身近なスマホからwifiでアクセスするアイディアを掲載していましたが、リモコンとしてM5Stackを選択するのは物理ボタンが搭載されているため最高の選択肢ともいえます。

🔰 そもそもM5Stackとは?

M5Stackは、ESP32(wifi, Bluetooth通信)マイコンをベースにした開発用デバイスシリーズです。
以下のような特徴があります:

  • カラー液晶ディスプレイ搭載
  • Grove端子で簡単にセンサーユニットを追加可能
  • Arduino / UIFlow / MicroPython に対応
  • モジュール(ボトム)やユニット(周辺機器)を積み重ねて拡張可能

🏷️ M5Stackの主要モデルと特徴

モデル名特徴対応端子・ポイント
M5Stack Core2高性能でタッチ液晶搭載。UIFlowにも最適。I2C / UART / 拡張GPIO / microSD / スピーカー
M5Stack Basic最もベーシックなモデル。軽量用途に向く。I2C / UART / microSD / ボタン3個
M5Stack CoreS3最上位機。高速プロセッサ&USB-C。カメラも搭載可。USB OTG / PSRAM / 8MB RAM / WiFi高速
M5StickC Plus超小型。携帯性◎、モバイル向け。小型液晶 / バッテリ内蔵 / USB-C
M5Atom超ミニマルで格安。RTK通信制御にも利用可能。LEDマトリクスのみ / 小型プロジェクト向け

🧩 RTK測位 × M5F9P におすすめのモデルは?

条件おすすめモデル理由
初心者でも安心・UIFlowで開発したいM5Stack Core2タッチ液晶・バッテリ・SD・Grove端子が完備されている
通信・センサーデータも拡張したいM5Stack Core2 or CoreS3CoreS3はRAMが豊富で画像処理にも強い
軽量・持ち運び・記録中心で使いたいM5StickC Plus小型で腰に付けて苗記録などに向く
自作ロボットに組み込みたいM5Atom Lite超小型でRTK制御用途にピッタリ。UIは別途スマホで対応可能
カメラも使いたい/AI処理したいM5Stack CoreS3ESP32-S3搭載で画像処理・BLE通信にも強い

🎯 用途別選び方まとめ

● 家庭菜園で苗植え位置記録や操作UIが欲しいなら

M5Stack Core2

  • 操作性抜群。画面付きで現場でも確認しやすい

● RTK自動走行ローバー制御用の小型マイコンとして

M5Atom Lite

  • 小型で軽量。シャーシに載せやすく、必要最低限のGPIOあり

● 屋外で苗を植えながら測位記録だけしたい

M5StickC Plus

  • ポケットに入れて持ち歩ける。屋外作業に強い

● カメラ認識やクラウド処理を行いたい場合

M5Stack CoreS3

  • AIや画像処理、音声入力など先進機能が必要なら最適

ここからは、オーディオに関するM5stackの実装例をいくつかアイディアを出しながら考えてみます。

オーディオ向け用途

基本的には制作の補助ツールとして使うのが好ましいです。

🎚 Revoxなどオープンリールの遠隔制御

前半でも少しお話ししましたが、遠隔制御にM5stackは物理ボタンをディスプレイがありますので、最高の選択肢の一つです。

Revox B77をwifiで遠隔操作できるよう改造

🎼 「演奏後にWAVファイルをM5Stackに送信 → 自動でMP3化して全員に送信」

これも結構便利じゃないでしょうか。

演奏者に送るプレビューファイルはMP3などの軽量なものであることが多いです。

PCやMacに送ってから変換して、送ることも可能ですが、制作チームのアドレスを事前に把握しておき、プログラムに組み込んでおけば、wifiでM5に送るだけで完了してしまいます。

ただし、ファイル変換などは、ラズパイなどを併用する必要があります。

デバイス役割
M5Stack Core2/S3UI表示、ファイルアップロードトリガー受付
Raspberry Pi Zero 2WWAV→MP3変換(FFmpegなど使用)
クラウドAPIファイル送信(Google Drive/LINE/Dropbox)
graph TD
  A[収録終了後 WAVファイルをWi-Fi経由で送信] --> B[M5Stackが受信]
  B --> C[MP3形式に自動変換]
  C --> D[メール/LINE/クラウド等に送信]

物理ボタンとディスプレイの優位性を生かして、例えばAの人にはWAVEで、Bの人にはMP3などボタンを振り分けておくと現場で効率よく便利に動けます。

🪛 スタジオ向け「音響モニター警告灯システム」

  • 用途:録音中やマイクON時に点灯(現場の録音ミス防止)
  • 構成
    • M5Stack + リレー制御 + LEDバーライト
    • 入力は「ライン検出」または「GPIO受信」
  • 応用
    • M5からSpotify API連携して「再生中通知ライト」にも変身

録音現場では、録音できていなかった・・・事故は多発します。

どんなに慣れていてもあることです。

ボタンが3つありますから、それぞれLEDランプと連携して、警告灯としてチェックすることで安全に制作を進められるのではないでしょうか。

🎙️ ほぼリアルタイム翻訳機

MicrosoftのAzureなどのサービスAPIを使って、録音した音声をそのままほぼリアルタイムで翻訳し例えば英語音声で聞くなんてデバイスも可能です。

音楽やってると、多言語の現場はかなりの頻度で発生するのではないでしょうか。

もちろん話せる人はそのままでOKですが、だいたいは英語かスペイン語かドイツ語になるかと思います。

この三言語を切り替えられるようにプログラムしておけば、現場でスムーズにレコーディングが進められますね。

▶️ M5Atom Echo + BLE/WiFi

  • 小型マイク・スピーカー内蔵
  • ローカル音声入力をBLEでCoreS3に転送
  • スピーカーで再生(TTS音声は外部I2S DACへ)

▶️ M5Stack CoreS3 + Cloud API

  • ESP32-S3でAzure REST APIを使った音声認識と翻訳
  • TTS音声はDAC経由でスピーカー再生
  • BLEやMQTTでIoT機器と連携可能(翻訳の記録など)

✅ 結論:迷ったらこれ!

👉 「M5Stack Core2」が最もバランスがよく安心です

  • タッチ操作対応
  • Grove端子でM5F9Pと簡単接続
  • バッテリ・SDカードも内蔵
  • UIFlowにも対応しやすく、Arduino開発にも向く

✍️ 最後にひとこと

M5Stackは一見似ていても、それぞれに個性と得意分野があります。
自分の「やりたいこと」から逆算して選ぶことが、後悔しない選び方のコツです。

朝比奈幸太郎

音楽家:朝比奈幸太郎

神戸生まれ。2025 年、40 年近く住んだ神戸を離れ北海道・十勝へ移住。
録音エンジニア五島昭彦氏より金田式バランス電流伝送 DC 録音技術を承継し、 ヴィンテージ機材で高品位録音を実践。
ヒーリング音響ブランド「Curanz Sounds」でソルフェジオ周波数音源を配信。
“音の文化を未来へ”届ける活動を展開中。