この記事の情報リスト
あなたが耳にしたことのある、あの温もりあるアナログの音。
深く、厚みがあり、どこか立体的で柔らかい。
その音は、どこで、どのように“記録”されているのでしょうか?
オープンリールというシステムは、テープに音を録るという、極めてシンプルに見える構造の中に、極限まで研ぎ澄まされた技術と思想が詰まっています。
その中心にあるのが、録音ヘッド・再生ヘッド・消去ヘッド──この3つの“磁気ヘッド”です。
これらは、単なるパーツではありません。
オープンリールという楽器が音を生み、記憶し、再び響かせるための、“心臓”であり“頭脳”であり、まさに魂の通り道なのです。
本記事では、この音と磁気のインターフェースであるヘッドについて、
・その役割
・構造
・仕組み
・そして音に与える影響
までを、図解や例え話も交えながら、徹底的に解説していきます。

この記事を担当:こうたろう
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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ヘッドとは何か?音と磁気のインターフェース

磁気ヘッドとは、音の波(アナログ信号)を磁気の変化に変換し、またそれを音に戻す装置です。
これをもっとわかりやすく言うと:
🎧 録音ヘッドは「音を磁石にする」
🔁 再生ヘッドは「磁石を音に戻す」
🧹 消去ヘッドは「磁石をゼロにリセットする」
これがテープと一体になって、私たちの耳に残る音を「記録」するのです。
録音時、音(空気の振動)は以下の流れでテープに記録されていきます。
🎤(音)→ 🎚️(マイク)→ ⚡(電気信号)→ 🔁(録音ヘッド)→ 🧲(磁化されたテープ)
- **音(空気の振動)は、マイクで電圧の波形(アナログ信号)**に変換されます。
- その電気信号は、録音アンプを通じて録音ヘッドに流される電流になります。
- ヘッド内部のコイルに流れる電流が磁場を発生させ、それがギャップを通してテープ上に記録されます。
📘 専門的な仕組み(電磁誘導の応用)
録音ヘッドの構造は、以下のような電磁変換器(トランスデューサ)です。
構成部品 | 機能 | 備考 |
---|---|---|
磁性コア(コア材) | 磁束を通し、ギャップへ導く | パーマロイ、フェライト、ガラスコアなど高透磁率素材を使用 |
巻線(コイル) | 信号電流を流して磁場を発生 | 録音信号やバイアス信号を電気的に伝える |
ギャップ | 磁場をテープに作用させる“出口” | 数ミクロンの非常に狭い隙間。磁界が空間に漏れる部分 |
シールドケース | 外部ノイズの影響を防ぐ | 磁界や電磁ノイズの干渉からヘッド内部を守る |
マウントフレーム | ヘッドを精密に固定・調整 | アジマス・高さ・チルト角の微調整が可能 |
⚡ 録音時のプロセス:電磁的な説明
- コイルに電流 I(t)I(t)I(t) が流れると、磁場 B(t)B(t)B(t) が発生
- この磁場は磁性コアを通って集中し、ギャップ部分で外部に放射される
- その磁場が走行中の磁気テープに作用し、磁性粉末を「一時的に磁化」する
- テープがギャップを通過すると、その瞬間の磁界分布が「残留磁化」として定着する
💡 補足:磁気記録におけるヒステリシス曲線の関与
テープ上の磁性体(酸化鉄やマグネタイト)は、ヒステリシス特性を持っています。
- 電流(磁場)の強さに応じて、磁化強度が変化し、
- ある値を超えると「飽和磁化」に達し、
- 逆方向の磁場を与えなければ、**磁化は残ったまま(残留磁化 Br)**になります。
これを活用して、アナログ信号の振幅に応じた磁気記録が可能になるのです。
録音ヘッドにおけるギャップ付近の磁束密度 \( B(t) \) は、以下の式で近似されます:
\( B(t) = \mu \cdot \frac{N \cdot I(t)}{g} \)
ここで:
- \( \mu \):磁性体の透磁率
- \( N \):コイルの巻数
- \( I(t) \):時間に依存する信号電流
- \( g \):ギャップの幅
📌 実機ではどうなるか?
- Studer A820などの高級機では、録音ヘッドのギャップ幅が約1〜2μm
- 信号電流は1kHzで最大数10mA、バイアスは100kHz超の正弦波を合成
- 高精度なマシニングで削り出されたギャップが、アナログ音の再現精度を決定づける
録音ヘッドは、音という連続的な変化を、磁気という“見えない地層”として刻む装置です。
それはアナログならではの、**物理的な“音の記憶”**なのです。
🔩 ヘッドはどこにある?
オープンリールデッキを正面から見たとき、テープの走行ルート上に金属製の小さな“突起”が3つ前後並んでいる部分があります。
これがヘッドブロックと呼ばれ、次の3つで構成されています:
- 消去ヘッド(最初):古い信号をきれいに消す
- 録音ヘッド(中央):新しい音をテープに刻む
- 再生ヘッド(最後):録音された音をすぐに再生する
🎯 この3つを独立して配置したものが「3ヘッドシステム」と呼ばれ、音質調整やモニタリングに優れる設計です。
🔬 “ギャップ”という目に見えない命綱
ヘッドの中央には、**髪の毛よりも遥かに細い“ギャップ(隙間)”**があります。
このギャップは、
- 録音時:磁場を集中させてテープに磁気を刻み、
- 再生時:テープ上の磁束の変化を電圧として拾い上げる
まさに**“音の記憶”が生まれる瞬間の交差点**なのです。
このギャップがどれほど狭く、どれほど正確に作られているかで、
- 再生できる周波数帯域
- ノイズの少なさ
- 音の解像度
が決まると言っても過言ではありません。
再生ヘッドの仕組みと役割
録音された音が、再び耳に届くまでには、再生ヘッドという小さな部品が決定的な役割を担っています。
録音ヘッドが「電気を磁気に変える」装置だとすれば、
再生ヘッドは「磁気を電気に戻す」装置です。
ここでは、テープに残された“目に見えない音の痕跡”を、電圧として正確に取り出すという、極めて繊細で高度な技術が詰め込まれています。
🧠 仕組み:電磁誘導の逆変換
再生ヘッドは、構造としては録音ヘッドとほぼ同じです:
- 磁性コア(パーマロイなど)
- ギャップ(非常に狭い空間)
- コイル(出力信号を取り出す巻線)
ただし、電流を流して磁場を作るのではなく、逆に、磁場の変化から電流を“発生”させるという点が異なります。
⚡ ここで登場するのが「ファラデーの電磁誘導の法則」
📘 ファラデーの電磁誘導の法則
ファラデーの法則は、コイルなどの導体を貫く磁束の変化が、起電力を生むことを表した法則です。以下のように記述されます:
(1)簡略形:
\( V(t) = -N \cdot \frac{d\Phi(t)}{dt} \)
ここで:
- \( V(t) \):誘導起電力(単位:V)
- \( N \):コイルの巻数
- \( \Phi(t) \):時間とともに変化する磁束(単位:Wb)
(2)ファラデーの法則の一般形(電場ベクトルを含む形式):
\[ \mathcal{E} = -\frac{d\Phi_B}{dt}, \quad \text{または} \quad \oint_{\partial S} \vec{E} \cdot d\vec{l} = – \frac{d}{dt} \int_S \vec{B} \cdot d\vec{A} \]
これは、電場 \(\vec{E}\) の回転(ループ積分)が、時間的に変化する磁束密度 \(\vec{B}\) の面積積分(=磁束)に反比例することを意味します。
この式は、再生ヘッドにおいて、磁気テープ上の磁束変化が電圧信号として検出される理論的根拠になります。
- V(t)V(t)V(t):コイルの両端に発生する電圧(=オーディオ信号)
- NNN:巻数(コイルのターン数)
- dΦ(t)dt\frac{d\Phi(t)}{dt}dtdΦ(t):時間あたりの磁束の変化率
🎯 磁束が時間的に変化する(=音の波形として記録されている)と、それに応じた電圧が再生ヘッドに誘起され、これが音声信号としてスピーカーへ送られるわけです。
📈 ギャップの幅と高域特性の関係
再生ヘッドにおいてもギャップ幅が非常に重要な意味を持ちます。
このギャップが広すぎると、磁束の変化を検知する精度が下がり、特に高周波成分(高域)が失われることになります。
そのため狭いギャップだと、高周波の変化も正確に拾える(高音が伸びる)のに対し、ギャップが広いと、磁場が拡散し、高音が再現しにくくなるという特性があります。
🎯 アジマスの重要性:角度のわずかなズレが音像を壊す
「アジマス」とは、ヘッドとテープの接触角(ヘッドの向き)です。
- わずか1°でもズレると、左右のチャンネルの波形がズレて定位がぼやける
- 特に高域の信号が打ち消し合って消えてしまうことがある
これは録音にも再生にも関係する要素ですが、再生時に正しいアジマスで読まないと、“本来の音”を取り出せないのです。
🧪 実際の再生信号はどんなものか?
- 出力電圧は微小(数100μV〜数mV程度)
- 高入力インピーダンスの再生アンプが必要
- 信号は低レベルながら、音楽のすべての情報が詰まっている
このため、再生ヘッドからの信号を受け取る再生アンプ部の設計品質も非常に重要になります。
消去ヘッド:音を“完全に消す”テクノロジー
【→ テープの走行方向 →】
[消去ヘッド] → [録音ヘッド] → [再生ヘッド]
🔄 消去ヘッドの存在理由とは?
「消去」と聞くと、地味な存在に思われがちですが、消去ヘッドは録音の品質を左右する極めて重要なパートです。
なぜなら、録音前にテープ上の古い磁気信号を完全に“ゼロ”にしないと、新たな音が上書きされる際に前の音が混じってしまうからです。
この現象は「ゴースト」「オーバーラップノイズ」とも呼ばれ、録音の透明度を著しく損なう要因になります。
🧠 消去の仕組み:高周波の“かき混ぜ”で磁気をリセット
消去ヘッドは、録音ヘッドのように音信号は流しません。
代わりに、**数十kHz〜100kHz以上の“高周波AC信号”**を流します。
この高周波電流はヘッドのコイルを通じて、強くて速く変化する磁場を発生させ、テープ上の磁性粒子を一方向に揃えずに“無秩序な状態”にかき回すことで、
結果的にテープ上の残留磁束(=録音された音)を完全に“見えなく”するのです。
🎯 磁気的には、これは「ゼロ磁化状態に近づける=ランダム化」ということ。
項目 | 内容 |
---|---|
信号 | 高周波正弦波(例:80〜150kHz) |
動作目的 | 録音前に古い音(磁束)を完全に消去する |
動作タイミング | テープが録音ヘッドに届く直前に作動する |
テープへの効果 | 磁性粒子を無秩序にし、録音のための“無”の状態を作る |
消去不良時の現象 | ゴースト、前の録音が残る、ノイズの混入 |
もっと深く理解する
ではここから、「消去ヘッドが高周波を流すだけで、なぜ音が消えるのか?」という疑問が出てくるのではないでしょうか。
アナログ録音技術の中でもとても奥深く、かつ理解するとアナログ録音の本質に迫ることができるテーマです。
🔍 そもそも「音が録音される」とはどういう状態?
テープには磁性体の粒子(酸化鉄やマグネタイトなど)が無数に塗布されています。
録音とは、この粒子たちがある方向に揃う=つまりこれは磁化されるということです。
- 録音信号に応じて、これらの磁性粒子が「北→南」や「南→北」などの方向に向き、
- それが磁界の強さと向きの変化としてテープ上に“記録”されます。
録音とはつまり、方向性のある“磁気の形”を残す行為なのです。
✅ 消去ヘッドでは以下のような処理が行われます
- 高周波AC(例:100kHz)の電流がヘッドに流れる
- ヘッドギャップから非常に速く変化する磁場(+→−→+→…)が発生
- テープがその磁場の中を通過する間に、磁性粒子は数千〜数万回もN→S→N→Sと振られる
- この激しい磁化の“往復運動”で、粒子の向きが揃わずランダムになり、結果として「無磁化(=音が消えた)状態」となる
💡 イメージしやすい例え話:砂鉄と磁石の関係
テープを「砂鉄をまいた平らな紙」と考えてください。
録音された状態は、すべての砂鉄がきれいに「同じ方向」を向いて並んでいる状態です。
消去ヘッドはそこに、
- 超高速でN極・S極が交互に切り替わる磁石を持って近づけ、
- 紙の上を通過させながら、砂鉄を無作為に振り乱す
結果、砂鉄はバラバラの方向を向き、“どの方向にも情報がなくなった”=音が消えた状態になります。
📘 学術的視点:ヒステリシス曲線と消去原理
磁性体の磁化は、以下のような**ヒステリシスループ(B-Hカーブ)**に従って変化します:
![ヒステリシス図の例(概念)]
- 高周波AC信号を加えることで、粒子はこのループを往復運動します。
- しかし、速度が速すぎるため、一定方向に磁化が残らず、平均的にゼロに近づく。
- 結果として、磁気的には**“記録なし”と同等の状態**になるわけです。
✅ 数式的な概念:消去ヘッドと磁化の関係
消去ヘッドが高周波AC信号を与えると、磁性粒子の磁化 \( M(t) \) は時間的に以下のような振動をします:
\( M(t) = M_s \cdot \cos(\omega t) \)
ここで:
- \( M_s \):飽和磁化(磁性体が最大に磁化される強さ)
- \( \omega \):角周波数(例:100kHz などの高周波電流の振動数)
- \( t \):時間
このように磁化ベクトルが高速で振動し続けると、粒子は次第にその運動に追従できなくなり、結果的に平均磁化がゼロ(≒消去された状態)に収束していきます。
各ヘッドの配置とテープ走行の順序
✅ 典型的な「3ヘッド構成」の場合
テープは、左から右へ進みます。
その進行方向に沿って、ヘッドの配置はこうなります。
【→ テープの進行方向 →】
[消去ヘッド] → [録音ヘッド] → [再生ヘッド]
配置順 | ヘッド名 | 主な機能 |
---|---|---|
1番目 | 消去ヘッド | 以前の音を完全に消去し、新しい録音の準備をする |
2番目 | 録音ヘッド | 入力信号を磁気テープ上に記録する |
3番目 | 再生ヘッド | 録音された音を即座に再生(モニタリング)する |
この「録音直後に再生できる」という機能が、プロフェッショナル用途において最も重要な利点です。
⚖️ 2ヘッド vs 3ヘッド:構造と性能の違い
項目 | 2ヘッド機 | 3ヘッド機 |
---|---|---|
ヘッド構成 | 録再兼用+消去 | 録音・再生・消去がすべて独立 |
モニター機能 | 録音中は不可 | 録音しながらリアルタイムでモニター可能 |
音質調整 | 録再が同一特性になるため制約あり | 録音・再生それぞれ別にEQやレベルを最適化できる |
用途 | 家庭用、ラジカセ | 業務用、スタジオ、マニア向け |
🧠 補足:3ヘッド構成の音質的メリットとは?
録音と再生が**“物理的に独立している”**という点がポイントです。
これにより:
- 録音ヘッドは録音に最適なギャップ幅・磁性材
- 再生ヘッドは再生に特化したナローギャップ仕様
- → 結果的に、両者の妥協なき設計=高音質が実現します。
高音質を左右するヘッド技術の進化
録音ヘッド・再生ヘッドは、音質においてもっとも繊細な部分です。
どれほど良いテープや回路を使っても、ヘッドの精度や状態が悪ければ、音の解像感やバランスは損なわれます。
では、高音質を支えるヘッド技術にはどのような進化があるのか?
また、その性能を保つために必要な清掃・メンテナンスとは何か?
徹底的に見ていきましょう。
🔍 ギャップ幅:高音の“限界”を決める数μmの世界
✅ ギャップとは?
- 再生・録音ヘッドの先端にあるわずかな隙間(ギャップ)で、磁場の出入りが行われます
- このギャップが広すぎると高域が再現できず、狭すぎると製造が難しくなります。
✅ ギャップ幅と再生周波数の関係(目安)
ギャップ幅(μm) | 理論的再生限界(周波数) | 代表的な用途 |
---|---|---|
6〜10 μm | 〜10,000 Hz | 家庭用2ヘッドデッキ、ラジカセなど |
3〜5 μm | 〜15,000 Hz | 中級Hi-Fi機、業務機 |
1〜2 μm | 〜20,000 Hz以上 | スタジオ用3ヘッドデッキ(Studer, Ampexなど) |
🧲 コア材質の違い:透磁率と音の“厚み”に影響
録音・再生ヘッドには、磁気を通すための**コア(芯材)**が使われています。
この材質が音質にも影響します。
材質 | 特性 | 音への影響 |
---|---|---|
パーマロイ | 高透磁率・加工しやすい・摩耗しやすい | 自然で柔らかくナチュラルな音質 |
フェライト | 硬くて摩耗しにくい・やや高域寄り | シャープでエッジの効いた音 |
ガラスコア(ガラスギャップ) | 極端な高耐久・超ナローギャップ対応 | 極めて精密でワイドレンジな再現力 |
基本的にパーマロイヘッドが一番音がいいというのが持論です。
ソニーの機材はフェライトが使われていることが多く、ソニーはフェライトが得意であると言えます。
初期のフェライトヘッドのデンスケの音を聞いてみてもかなりシャープで角が際立っている音がしています。
こちらは好みの問題になってくるかと思います。
また、ヘッドの寿命も重要になってくるかと思います。
フェライトヘッドは5,000〜10,000時間以上使用可能なのに対し、パーマロイヘッドは2,000〜5,000時間を目安に交換となっています。
交換パーツに関しては当サイトの管理人も使用しているRevoxシリーズですと、ebayを中心に国際的な中古マーケット、オークションサイトなどであれば、ドイツから手配できます。
いまだに新品でパーツを供給しているあたりがRevoxというブランドのすごいところ。
🧼 ヘッドの清掃とメンテナンス方法
高性能なヘッドも、汚れ・酸化・摩耗には抗えません。
とくにアナログテープは摩擦や磁粉の付着が避けられないため、定期的な手入れが音質維持には必須です。
項目 | 方法 | 注意点 |
---|---|---|
ヘッド表面の清掃 | 無水アルコールを綿棒に染み込ませ、ヘッド表面を軽く拭く | 強くこすらない。垂直方向に、傷をつけないように注意 |
ピンチローラー | ゴム用クリーナー or 水+中性洗剤 | アルコールは避ける(ゴムが劣化する) |
キャプスタン軸 | アルコール綿棒で磨く | テープの走行が不安定な原因になるため定期的に清掃 |
磁化除去(消磁) | 専用のヘッドデガウザーを使用 | ヘッドに磁化が蓄積すると高域が削れる。録音スタジオでは定期実施 |
QA
ヘッドを交換すると音質が変わるのはなぜ?
✅ 回答:
再生ヘッドを交換すると音質が変わるのは、ギャップ幅、コア材質、磁気回路設計、取り付け精度(アジマス)などが微妙に異なるためです。
これらの要素は、最終的にどのように磁束の変化を“拾う”かに直結します。
ギャップってどれくらい狭いの? どんな機械で作るの?
✅ 回答:
ギャップは一般的に「数ミクロン(μm)=1000分の1ミリメートル単位」で作られています。
そしてこの極小のギャップは、精密研磨技術と機械加工の結晶によって製造されています。