Nuevo Quinteto Real
アルバム概要

画像引用:Amazon
項目 | 内容 |
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タイトル | Nuevo Quinteto Real |
リリース年 | 1999年(録音:1999年頃(推定))es.wikipedia.org |
録音スタジオ | ブエノスアイレス:Club del Vino(デジタル録音)lanacion.com.ar |
録音エンジニア | ホルヘ・“ポルトゥゲス”・ダ・シルバpagina12.com.ar |
プロデューサー | オスカル・メディアビージャ(ワーナー・アルゼンチン) |
レーベル/番号 | Warner Music Argentina (WEA, カタログ番号 WEA83672)es.wikipedia.org |
参加メンバー | Horacio Salgán(ピアノ)、Ubaldo De Lío(ギター)、Néstor Marconi(バンドネオン)、Julio Peressini(ヴァイオリン)、Oscar Giunta(コントラバス)es.wikipedia.orges.wikipedia.org |
形式 | CD(ステレオ) |
録音エンジニアと制作背景
本作の録音は1999年にブエノスアイレスで行われたとされ、録音場所はタンゴのライブハウスとして有名なClub del Vinoであります。
録音機材はデジタル多重録音方式で、特にピアノ音の「音作り(サウンドデザイン)」にこだわりが見られました。
録音・ミキシングはホルヘ・“ポルトゥゲス”・ダ・シルバ(Jorge “Portugués” Da Silva)が担当しており、彼は1970~80年代から活動するアルゼンチンの名エンジニアで、レオポルド・フェデリコやチャーリー・ガルシア、ルイス・リンスなど幅広い巨匠の録音に携わってきました。
Da Silvaは経験的な耳による録音技術を信条としています。
詳しくは彼のインタビュー記事があるので是非読んでみてください。
プロデューサーは、当時ワーナー・アルゼンチンのアートディレクターを務めていたオスカル・メディアビージャ。
La Nación紙の記事によれば、メディアビージャは本作の録音を非常に評価し、「この作品は自分がこれまで手がけた中で最良のものの一つ」と語っています。
編曲面では、伝統的なタンゴ曲を中心に細部まで練られており、同紙は「アレンジに手間を惜しまず」アルバム制作が行われたと報じています。
音響的特徴
録音はデジタル方式で行われているため、各楽器の音は極めてクリアに捉えられています。
特にピアノの音響処理には綿密な調整が施されており、「音作りにこだわった」と評されている。
La Nación紙でも「非常に緻密(prolija)な作業」として録音工程が評価されており、余計な残響は抑えられたクリアな空間感が特徴と考えられる。
配置面では、おそらくステレオでピアノに2本のコンデンサーマイク、バンドネオン・弦楽器には適切な指向性マイクが用いられ、各楽器の定位が明瞭に再現されている。
ダイナミクスレンジも広く、演奏の強弱や抑揚が忠実に記録されているようである(原資料中に「デジタル機材で録音」「ピアノの音響処理」に言及あり)。
私のレビュー
かつてB &Wを使っていたときのサウンドチェックに使っていました。
Nuevo Quinteto Realの全身はQuinteto Real、両者は全く違うバンドと考えていいでしょう。
Nuevo Quinteto Realのアレンジはとにかくコンパクトに凝縮されていて、楽曲が密度よく構成されています。
ピアノ録音にこだわっているという本作ですが、確かにサルガンのピアノは、タンゴ音楽のスモーキーさや、芳醇さ、そして何よりカラカラした乾燥したニュアンスが存分に感じられそれらを余すことなく上手に収録されており、バンドと絶妙な混ざりを見せています。
それは、ピアノという楽器があの大きさを持って演奏されるということを一瞬忘れてしまうほど。
これは実際かなりのエンジニアスキルが必要になってくるのだと思います。
加えてやはりタンゴ界の伝説とも言えるスターたちがここまでコンパクトに凝縮された作品ですので、聞き応えは抜群です。
個人的にはタンゴ作品でベスト3の中に本作が入ってきます。
総合評価と意義
Nuevo Quinteto Real は、1960年結成の伝統的タンゴ・クインテートを現代に継承した作品であり、史実上のクインテート・リアルの精神を色濃く反映しています。
録音・ミキシングは高度にプロフェッショナルで、オリジナルメンバーSalagán/De Líoらによるベテラン的技巧が遺憾なく発揮され、第二世代であるMarconi、Peressini、Giuntaとともに「古き良きタンゴ」を洗練されたサウンドで再現している点が素晴らしい。
プロデューサーのメディアビージャも「これまでに手がけた最高の仕事の一つ」と本作を称賛しており、その制作意義の高さが窺われる。
タンゴ史上屈指の名曲を集めた曲目選定と緻密な編成によって、本作はクインテート・リアルの系譜における重要作と位置づけられるだろう。