この記事の情報リスト
回路図(Schematic Diagram)は、電子回路の動作を視覚的に理解するための設計図です。
電子部品同士がどう接続されているかを示し、電気信号や電圧の流れを把握できます。

この記事を担当:こうたろう
1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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主な目的:
- 構造の把握
- 故障診断
- メンテナンス作業の指針
- 改造や設計変更の検討
回路図に登場する基本記号とその意味
記号 | 部品名 | 説明 |
---|---|---|
─ | ワイヤ(配線) | 電気的接続線 |
● | ノード | 接続点(複数の線が交わる) |
⎯ | ⎯ | 抵抗(R) |
‾‾‾ | ||
↑↓ | トランジスタ(Q) | 増幅・スイッチング用 |
┬ | ダイオード(D) | 一方向に電流を通す |
▭ | オペアンプ(IC) | 信号増幅・処理回路の中核 |
⏚ | GND(接地) | 回路の基準点 |
※ REVOX A77はトランジスタ回路が中心なので、トランジスタと抵抗・コンデンサの関係性を読む力が大切です。
回路の読み方ステップ
ステップ1:電源ラインを探す
- 通常、+24Vや±15Vなどが上部または左側に配置される
- 電源の経路と接地(GND)を確認
ステップ2:信号の入口と出口を把握する
- MIC/LINE IN → AMP → RECORD AMP → BIAS → HEAD という信号の流れ
- 再生時は HEAD → PLAY AMP → OUTPUT という流れ
ステップ3:ブロック単位で分解して理解
- 入力段(プリアンプ)
- 増幅段(メインアンプ)
- フィルター回路(トーン調整、ローパス)
- 出力段(バッファ、ミュート、リレー制御)
部品番号と型番の見方
- R101 → 抵抗(R)で、回路内の番号101番目
- C205 → コンデンサ(C)の205番
- Q301 → トランジスタ(Q)の301番
- IC1 → 集積回路の1番(IC=オペアンプやロジックIC)
REVOX A77を読む準備
REVOX A77の回路図はモジュール(基板)ごとに構成されており、以下の順に理解するのがオススメです:
- Playback Amplifier(再生アンプ)
- Record Amplifier(録音アンプ)
- Input Amplifier(入力段)
- Oscillator Board(バイアス)
- Power Supply Unit(電源部)
練習:1つの小回路を追いかけてみよう
例:Playback Amplifier基板
- 電源:+24VとGNDラインを探す
- 入力:ヘッドからの信号ラインを追う
- 増幅段:トランジスタ+抵抗+コンデンサの構成で何段か構成されている
- 出力:レベル調整トリマを通ってOUTPUT端子へ
REVOX A77の「Input Amplifier CH1 / CH2(1.077.700)」の例
記号 | 部品名 | 機能 |
---|---|---|
Q501〜Q505 | トランジスタ(BC108/BC109/BC178) | 信号の増幅・スイッチング |
R501〜R518 | 抵抗器 | 電流制御・バイアス設定 |
C501〜C517 | コンデンサ | カップリング・フィルタ・安定化用 |
L501 | インダクタ | 高周波ノイズ除去(LPF) |
P501〜P504 | 可変抵抗(トリマ) | ゲイン・バイアス・フィルタの微調整 |
各電源線 | +18V / +12V / -12V / 0V | アンプ動作のための電源供給 |
出力 (Pin 6) | アンプ出力 | 後段(VUメータや録音系)へ信号伝送 |

部品番号 | 名称 | 役割 | 備考(交換時の目安など) |
---|---|---|---|
R401–R432 | 抵抗器(Resistors) | 各種電流制限・バイアス電圧の調整 | 抵抗値と誤差範囲を確認、色コードまたは回路図参照 |
C401–C427 | コンデンサ(Capacitors) | 信号カップリング、フィルター、バイパス用途 | 電解コンデンサは経年劣化があるため要交換 |
Q401–Q404 | トランジスタ(BC108等) | 増幅・スイッチング動作 | ゲイン不足やノイズ発生時は要交換 |
P501, P502 | トリマ(可変抵抗) | ゲイン・バランスの微調整 | 誤調整注意。マークしてから回す |
その他 | パターン配線・スルーホール | 電気的経路・実装面の構造 | 断線やパターン剥離に注意 |