【回路図の読み方入門】REVOX A77を読み解くための基礎力

投稿者: | 2025年5月7日

回路図(Schematic Diagram)は、電子回路の動作を視覚的に理解するための設計図です。

電子部品同士がどう接続されているかを示し、電気信号や電圧の流れを把握できます。

キーパーソン紹介

こうたろう

この記事を担当:こうたろう

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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主な目的:

  • 構造の把握
  • 故障診断
  • メンテナンス作業の指針
  • 改造や設計変更の検討

回路図に登場する基本記号とその意味

記号部品名説明
ワイヤ(配線)電気的接続線
ノード接続点(複数の線が交わる)
抵抗(R)
‾‾‾
↑↓トランジスタ(Q)増幅・スイッチング用
ダイオード(D)一方向に電流を通す
オペアンプ(IC)信号増幅・処理回路の中核
GND(接地)回路の基準点

※ REVOX A77はトランジスタ回路が中心なので、トランジスタと抵抗・コンデンサの関係性を読む力が大切です。

回路の読み方ステップ

ステップ1:電源ラインを探す

  • 通常、+24Vや±15Vなどが上部または左側に配置される
  • 電源の経路と接地(GND)を確認

ステップ2:信号の入口と出口を把握する

  • MIC/LINE IN → AMP → RECORD AMP → BIAS → HEAD という信号の流れ
  • 再生時は HEAD → PLAY AMP → OUTPUT という流れ

ステップ3:ブロック単位で分解して理解

  • 入力段(プリアンプ)
  • 増幅段(メインアンプ)
  • フィルター回路(トーン調整、ローパス)
  • 出力段(バッファ、ミュート、リレー制御)

部品番号と型番の見方

  • R101 → 抵抗(R)で、回路内の番号101番目
  • C205 → コンデンサ(C)の205番
  • Q301 → トランジスタ(Q)の301番
  • IC1 → 集積回路の1番(IC=オペアンプやロジックIC)

REVOX A77を読む準備

REVOX A77の回路図はモジュール(基板)ごとに構成されており、以下の順に理解するのがオススメです:

  1. Playback Amplifier(再生アンプ)
  2. Record Amplifier(録音アンプ)
  3. Input Amplifier(入力段)
  4. Oscillator Board(バイアス)
  5. Power Supply Unit(電源部)

練習:1つの小回路を追いかけてみよう

例:Playback Amplifier基板

  • 電源:+24VとGNDラインを探す
  • 入力:ヘッドからの信号ラインを追う
  • 増幅段:トランジスタ+抵抗+コンデンサの構成で何段か構成されている
  • 出力:レベル調整トリマを通ってOUTPUT端子へ

REVOX A77の「Input Amplifier CH1 / CH2(1.077.700)」の例

記号 部品名 機能
Q501〜Q505 トランジスタ(BC108/BC109/BC178) 信号の増幅・スイッチング
R501〜R518 抵抗器 電流制御・バイアス設定
C501〜C517 コンデンサ カップリング・フィルタ・安定化用
L501 インダクタ 高周波ノイズ除去(LPF)
P501〜P504 可変抵抗(トリマ) ゲイン・バイアス・フィルタの微調整
各電源線 +18V / +12V / -12V / 0V アンプ動作のための電源供給
出力 (Pin 6) アンプ出力 後段(VUメータや録音系)へ信号伝送
部品番号 名称 役割 備考(交換時の目安など)
R401–R432 抵抗器(Resistors) 各種電流制限・バイアス電圧の調整 抵抗値と誤差範囲を確認、色コードまたは回路図参照
C401–C427 コンデンサ(Capacitors) 信号カップリング、フィルター、バイパス用途 電解コンデンサは経年劣化があるため要交換
Q401–Q404 トランジスタ(BC108等) 増幅・スイッチング動作 ゲイン不足やノイズ発生時は要交換
P501, P502 トリマ(可変抵抗) ゲイン・バランスの微調整 誤調整注意。マークしてから回す
その他 パターン配線・スルーホール 電気的経路・実装面の構造 断線やパターン剥離に注意