音響でよく聞く「感度」と「インピーダンス」の違いと関係性を完全解説

投稿者: | 2025年4月18日

マイクやスピーカー、オーディオ機器の解説記事を読んでいると、必ず登場する専門用語が「感度(Sensitivity)」と「インピーダンス(Impedance)」です。

しかし、これらの違いや関係性は専門的でわかりづらいと感じる人も多いはずです。

この記事では、初心者でも直感的に理解できるようにしつつ、最後には技術者が実際に使っている視点まで到達できるように整理して解説します。

キーパーソン紹介

こうたろう

この記事を担当:こうたろう

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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感度(Sensitivity)とは?

超ざっくり定義すると感度とは「どれくらい小さい信号(エネルギー)で大きな音が出せるか(または拾えるか)」を示す性能値です。

マイクの場合

「どれだけ小さな音を拾えるか」という性能を示します。
単位は「mV/Pa」(ミリボルト/パスカル)など。

  • 小さな音でも大きな出力 → 感度が高いマイク
  • 大きな音じゃないと出力が小さい → 感度が低いマイク

スピーカーの場合

「アンプから小さな電力でもどれだけ大きな音が出るか」です。
単位は「dB/W/m」(デシベル/ワット/メートル)。

  • 小電力でも大音量 → 感度が高いスピーカー
  • 大電力が必要 → 感度が低いスピーカー

インピーダンス(Impedance)とは?

超ざっくり定義すると、インピーダンスは「電気の流れにくさ=抵抗のようなもの」です。
ただし直流ではなく「交流の世界(オーディオ信号)」での話です。

単位は「Ω(オーム)」で表します。

インピーダンスが影響すること

インピーダンスが影響する場面 影響内容 具体例
音量(信号レベル) 流れにくいと音量が小さくなる マイクとアンプのインピーダンス不一致で音が小さい
周波数特性(音質) 特定の帯域で信号減衰が起こる ケーブルが長い場合の高域減衰
ノイズ耐性 高インピーダンスはノイズに強い マイクケーブルや長距離伝送に有利
電力伝送効率 スピーカーでは低インピーダンスの方がパワーが出る 4Ωスピーカーはパワフルだがアンプに負担大

感度とインピーダンスの実践的な考え方

機器 インピーダンス 感度 接続時の考え方
ダイナミックマイク 約200〜600Ω 比較的低い マイクアンプの性能が重要
コンデンサーマイク 数百Ω 高い(内部アンプ搭載) ファンタム電源と良質なマイクアンプが必要
ヘッドホン(モニター用) 16Ω〜600Ω 高感度〜低感度様々 インピーダンスとアンプの出力特性に注意
スピーカー 4Ω〜8Ω(一般的) dB/Wで評価 感度が低ければアンプにパワーが必要

音響設計で重要な「インピーダンスマッチング」とは?

これは一言で言えば「適材適所」です。

基本原則

  • マイクやギターなどの出力インピーダンスが「低く」
  • 入力側(マイクプリやアンプ)は「高インピーダンス」

これによってロスなく音声信号が伝送されます。これを「ハイ・インピーダンス受け」とも呼びます。

まとめ

  • 感度 = 出力の大きさ(性能値)
  • インピーダンス = 信号の流れやすさ(回路の性質)

この2つは完全に別の概念ですが、適切に理解して音響機器を使いこなすことで、録音・再生のクオリティは飛躍的に向上します。

「インピーダンスを理解してこそ、機材の真価を引き出せる」とも言えます。