この記事の執筆:朝比奈 幸太郎
音大卒業後、ピアニストとして渡独。
ドイツにてAchim Tangと共に『ピアノとコントラバスのためのソナタ』をリリース。
現地でステファン・デザイアー氏よりマルチマイク技術を習得。
帰国後、タイムマシンレコードの五島昭彦氏に弟子入り。
ステレオペア録音技術を学ぶ。
現在は五島氏より金田式DC録音技術を承継しながら
マイクロフォンの制作やヒーリング音響ブランドの展開。
タイムマシンレコードでは、引き続き金田式DC録音のアシスタントエンジニアとしてRevoxのレストア技術やサイトの管理、金田式の録音哲学と技術の継承に務めている。
Revxoのレストア順序としては、電源周りのX2コンデンサを交換し、まずは通電とキャプスタンモーター基盤です。
これでまずは通電し、キャプスタンモーターが回転(制御されてるかどうかは別)し続けることで、見えてきます。
あとは、基本軸交換するべきパーツを交換していく。
基本の交換パーツを交換しても挙動不審な場合は、テスターで追いかけるという地道な作業が続きます。
そして、当然ですが大量に投入されているコンデンサー類から変えていきます。
コンデンサー類は交換優先順位をつけて交換していきますが、例えばオーディオ基盤のコンデンサーなどは、しっかりと音のいいものを選ばないとオリジナルを超えられません。
半世紀以上前のロマン溢れるこのマシン、しかし、やはり音は超えていかないと音楽家としてのプライドに傷がつくというものではないでしょうか。
必ずオリジナルよりも音のいいマシンにするためには、コンデンサ選びをしっかりするということがポイントです。
鎌ベイアンプの交換でもお伝えしておりますが、よく耳にする音のいいコンデンサとしては、東信工業のシリーズ、また有名なのはニッケミです。
東信工業のオーディオ用コンデンサのシリーズに関しては筆者自身鎌ベイアンプの交換にてその実力を確信していますので(とはいってもキャラクターがしっかりしていますので、Revoxと喧嘩しないかどうかに関しては好みの問題があります)積極的に採用していきます。
この記事では、ドライブモーター基盤の優先して交換するコンデンサの紹介と、交換しなくていい(ここが壊れていた場合はもう基盤を仕入れるしかない)ものを解説していきます。

| POS NO | PART NO | VALUE | SPECIFICATIONS |
|---|---|---|---|
| C 01 | 59.22.6470 | 47 U | -10% 40V EL (FRAKO) |
| C 02 | 59.30.6339 | 3,3 U | -20% 35V TA |
| C 03 | 59.30.4100 | 10 U | -20% 16V TA |
| C 04 | 59.30.6339 | 3,3 U | -20% 35V TA |
| C 05 | 59.30.2470 | 47 U | -20% 6,3V TA |
| C 06 | 59.22.3101 | 100 U | -10% 12V EL (FRAKO) |
| C 07 | 59.25.4100 | 10 U | -10% 25V EL |
| C 08 | 59.30.6339 | 3,3 U | -20% 35V TA |
| C 09 | 59.30.6339 | 3,3 U | |
| C 10 | 59.30.6339 | 3,3 U | |
| C 11 | 59.30.6339 | 3,3 U | |
| C 12 | 59.30.6339 | 3,3 U | |
| C 13 | 59.30.6339 | 3,3 U | |
| C 14 | 59.30.6339 | 3,3 U |
最優先で交換するコンデンサ2つ
さて、どの基盤でもそうですが、最優先で交換するのがFRAKOコンデンサ。
C1とC6のコンデンサをまずは交換してみる。
これだけでも劇的な改善が見込めます。
抵抗R1の存在
| POS NO | PART NO | VALUE | SPECIFICATIONS |
|---|---|---|---|
| R 01 | 57.57.4122 | 1,2 k | 5% 9W CER |
| R 02 | 57.41.4332 | 3,3 k | 5% .25W CF |
| R 03 | 57.41.4472 | 4,7 k | |
| R 04 | 57.41.4333 | 33 k | |
| R 05 | 57.41.4682 | 6,8 k | |
| R 06 | 57.41.4104 | 100 k | |
| R 07 | 57.41.4153 | 15 k | |
| R 08 | 57.41.4272 | 2,7 k | |
| R 09 | 57.41.4471 | 470 | |
| R 10 | 57.41.4471 | 470 | |
| R 11 | 57.41.4471 | 470 | |
| R 12 | 57.41.4122 | 1,2 k | |
| R 13 | 57.41.4181 | 180 | |
| R 14 | 57.41.4102 | 1 k | |
| R 15 | 57.41.4562 | 5,6 k | |
| R 16 | 57.41.4223 | 22 k | |
| R 17 | 57.41.4472 | 4,7 k | |
| R 18 | 57.41.4822 | 8,2 k | |
| R 19 | 57.41.4223 | 22 k | |
| R 20 | 57.41.4223 | 22 k | |
| R 21 | 57.41.4392 | 3,9 k | |
| R 22 | 57.41.4472 | 4,7 k | |
| R 23 | 57.41.4101 | 100 | |
| R 24 | 57.41.4123 | 12 k | |
| R 25 | 57.41.4392 | 3,9 k | |
| R 26 | 57.41.4392 | 3,9 k | |
| R 27 | 57.41.4392 | 3,9 k | |
| R 28 | 57.41.4392 | 3,9 k | |
| R 29 | 57.41.4392 | 3,9 k | |
| R 30 | 57.41.4392 | 3,9 k | |
| R 31 | 57.41.4473 | 47 k | |
| R 32 | 57.41.4103 | 10 k | |
| R 33 | 57.41.4122 | 1,2 k | 5% .25W CF |
| R 34 | 57.56.4101 | 100 | 10% 5W CER |
| R 35 | 57.02.4102 | 1 k | 5% .25W CF |
| R 36 | 57.99.0210 | 2,3 | PTC |
| R 37 | 57.11.4222 | 2,2 k | 5% .25W CF |
基盤そのものを見てみても際立って目立つ抵抗がR1です。
このパーツは普通の抵抗とは全く異なる「特別な存在感」を持っています。
その正体は回路図の右側、テイクアップモーター(M2 / Take Up Motor)の制御ライン(トライアック Q2の近く)に配置されています。
役割としては、テイクアップモーターのトルク(巻き取り力)制限を担っています。
この抵抗は、テープを巻き取るモーター(M2)へ流れる電流を制限し、適切なテープテンション(張り具合)を作るための非常に重要なパーツです。
もしこの抵抗がなければ、モーターが全力で回転してテープを引きちぎってしまうか、暴走してしまいます。
しかし、巨大ですよね。
パーツリストにある通り、定格電力は9W(ワット)です。
通常の電子工作で使う抵抗は1/4W(0.25W)ですから、その36倍もの熱に耐える仕様です。
モーターを駆動するための大きな電流が常にここを流れるため、動作中は非常に高温になります。
そのため、熱に強い「セメント抵抗(セラミック抵抗)」という、白い直方体の大きなブロック状の部品が使われています。
現代の電子部品の標準的な規格では、5W、7W、10Wなどが主流です。
「9W」という数値は、この当時の欧州パーツ(Revoxなど)特有の規格や、特定のメーカー(Vitrohmなど)の特注仕様であることが多く、現在「9Wの抵抗」と検索してもほとんどヒットしません。
これが入手困難と感じられる最大の理由です。
では、どうすれば手に入るでしょうか。
検索・代替のコツ
電子部品において、W(ワット)数は「耐えられる熱の量」を示します。
したがって、元より大きい数字のものであれば代用可能です(大は小を兼ねるわけです。)
「9W」ではなく、「10W」で探しましょう。
現代の標準品である10Wのセメント抵抗であれば、簡単に入手できます。
「セメント抵抗 1.2kΩ 10W」「Wirewound Resistor 1.2k 10W」「1.2k ohm 10W resistor」
RSBS10 [1.2KΩ]
選ぶ際の注意点(ここが重要)
1. 抵抗値:1.2kΩ(1.2キロオーム / 1200オーム)であることを必ず確認してください。
2. サイズ(リード幅):10Wの抵抗は9Wのものとサイズが近いことが多いですが、基板の穴の幅(ピッチ)と合うか、または少し足を曲げれば入るかを確認する必要があります。
基板に垂直に立っているタイプ(ラジアル)か、寝ているタイプ(アキシャル)かを確認し、形状が近いものを選んでください。
Revoxでは白い四角い箱型のものが基板に密着せず、少し浮かせて取り付けられていることが多いです。 結論として:このR1は、テープを優しく、かつ力強く巻き取るための「力の加減弁」のような役割をしています。
純正と同じ「9W」にこだわらず、「10W 1.2kΩ のセメント抵抗(巻線抵抗)」を入手すれば、問題なく修理・交換が可能です。
交換しなくていいもの
| POS NO | PART NO | VALUE | SPECIFICATIONS | MFR |
|---|---|---|---|---|
| IC 01 | 50.06.0000 | SN74LS00 | LS-TTL | any |
| IC 02 | 50.06.0000 | SN74LS00 | LS-TTL | any |
| IC 03 | 50.06.0000 | SN74LS00 | LS-TTL | any |
| IC 04 | 50.05.0143 | SC 10429 | (Custom Logic) | M |
IC 01, IC 02, IC 03 (SN74LS00)の役割(ロジック制御の要)
これらは「NAND回路(ナンドゲート)」と呼ばれる、デジタル信号を処理する非常に基本的なロジックICです。
回路図上では、再生・早送り・巻き戻し・停止の各ボタンが押された信号を記憶(ラッチ)し、「今は再生モードである」「今は巻き戻しモードである」という状態を保持する役割を担っています。
また、「早送り中にいきなり再生ボタンを押しても受け付けない(一度STOPを経由させる)」といった誤操作防止の安全回路も構成しています。
入手難易度は極めて低く(簡単)世界中で最も普及している標準ロジックICの一つです。
探し方などは後述します。
IC 04 (SC 10429)は役割(テープ走行監視センサー)回路図の中央下に配置されており「TAPE MOVE SENSOR」や「TAPE END SENSOR」からの信号を受け取っています。
機能としては右側のリールが回転しているか(テープが動いているか)を常に監視しています。
もしテープが切れたり、巻き終わってリールの回転が止まると、このICがそれを検知して自動的に「STOP」信号を出し、モーターを止めます。
透明リーダーテープを検知してオートストップをかける機能もここに含まれます。
このパーツの入手難易度は非常に高いです。
これは汎用品ではなく、Studer / Revoxが特注したカスタムIC(または専用にプログラムされたIC)であり、ここが故障していたら基本的には、動作品の基盤を購入するしかないでしょう。
SN74LS00 (IC 01 – 03) の探し方は、現在でも電子部品店で新品が数十円〜百円程度で手に入ります。
検索キーワードとしては `SN74LS00N` または `74LS00` * 末尾の「N」はプラスチックの足つきパッケージ(DIP)を意味します。
Revoxの基板にはこの形状が必要です。
互換品としてはメーカー(Texas Instruments, Motorola, Hitachiなど)があり問いません。
「74LS00」という型番が一致していれば使えます。
また、`74HC00` や `74HCT00` という似た型番がありますが、これらは動作電圧や信号レベルの特性が微妙に異なる(CMOS規格)ため、基本的には「LS」と書かれたもの(TTL規格)を探すのが無難で確実です。