【有料級・永久保存版】 Revox B77 修復大全〜走行系編

最終更新日

Revox B77 のリペアに必要な知識と情報をアーカイブしていきます。
情報は随時更新され続け、みなさんで一つの情報として完成させていきたいと思っています。

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情報の追記だったり、シェア、またフォーラムでの最新情報など是非意見交換していきましょう。

みなさんで一つの叡智としての記事を完成させたいと思っています。

また、失敗談などもどんどんコメントしてください。
失敗は成功の元であり、とても貴重な経験となります。

分解手順・部品の当て先、また国内での代替品の検討。

また、テストポイントと波形・校正値・失敗例まで、写真と表で体系化できればと思っています。

ウェブ上から引用している画像や情報はすべて記載しておりますが、著作権に問題がある場合はご指導お願いします。

フロントパネルの構造

画像引用:Revox B77公式マニュアル

Revox B77 – BRAKE SYSTEM Parts List
INDEXQTYORDER NUMBERPART NAME
01221.01.4455Screw M4×8
02223.01.3043Washer
03237.01.0103Cup washer
0421.067.100.27Driver
0521.077.562.00Brake drum
0621.077.421.00Brake band compl.
0711.077.406.00Brake chassis compl.
0811.077.415.00Brake lever
0911.077.411.00Brake lever
10624.16.3032Circlip
11221.26.0353Screw (M3×5 max.)
12223.01.2032Washer M3
13321.26.0354Screw M3×6
1411.014.805.00Brake solenoid
1.014.806.00Brake solenoid (from 21618)
1511.014.803.00Plunger to brake solenoid
1.014.808.00Plunger to brake solenoid (from 21618)
1611.062.210.06Tension spring
1721.077.100-13Tension spring

ヘッドの構造

画像引用:Revox B77公式マニュアル

Revox B77 – TAPE HEAD ASSEMBLY Parts List
INDEXQTYORDER NUMBERPART NAME
1.020.300.00Tape head assembly compl., 1/4″, 2-track
1.020.301.00Tape head assembly compl., 1/4″, 4-track
0111.020.300.01Tape head chassis
0221.020.300.06Centering screw
0341.077.121.02Tape guide cup
0411.077.121.04Spacer
0521.020.300.04Threaded support
06221.26.0455Screw M4×8
07141.99.0102Ball bearing
0811.116.098.01Erase head 1/4″, 2-track
from 573291.116.098.04Erase head 1/4″, 2-track
11.116.099.01Erase head 1/4″, 4-track
from 609771.116.099.04Erase head 1/4″, 4-track
0911.116.022.00Record head 1/4″, 2-track
11.116.042.00Record head 1/4″, 4-track
1011.116.027.00Reproduce head 1/4″, 2-track
11.116.047.00Reproduce head 1/4″, 4-track
1121.020.801.00Head mounting plate compl.
12421.18.6354Set screw
13221.99.0118Screw M3×7
1421.077.155.06Head housing, internal
1521.077.155.06Head housing, outer
1641.077.155.07Plastic pin
1711.020.311.00Shielding lid compl.
18221.01.0202Screw M2×4
1911.020.310.00Clamp, riveted
2011.020.820.12Pressure spring
2111.077.145.01Guide disk
2211.077.145.02Spacer sleeve
23122.01.8030Nut M3
2411.020.320.00Light gate compl.
to above123.01.3032Washer
25121.26.0354Screw M3×6
2611.020.318.00Edit switch compl.

キャプスタンモーター制御基盤

ebayの最新出品リスト MJ15003

フォーラムメモ

キャプスタンモーター制御基板には、速度調整用のトリムポットがあります。
ワイパーがカーボンレールに接触せず、モーターの回転が止まってしまうというケースが一度ありました。

B77のCapstan Speed Control 基板(1.177.325/326/327)には、少なくとも速度調整用のトリマが2個あります(機番・基板版で位置/記号は多少前後)。機能は概ね下記です。

  • SLOW(LOW/19 cm/s)調整トリマ:19 cm/s の基準速度を合わせる(周波数基準テープで校正)。
  • FAST(HIGH/38 cm/s)調整トリマ:38 cm/s の基準速度を合わせる。

物理位置の目安

  • 基板面の上辺~右上寄り並んだ小型トリマが2個(Mk-Iでは青や白のシングルターン、Mk-II/327では密閉型のことも)。
  • シルクは “FAST / SLOW”“HI / LO”“38 / 19” のいずれか(版差あり)。
  • コネクタ P1(タコ/スピード/AC入力が来る8ピン)から見て、IC(NE555や比較IC)群の近くに配置されることが多いです。

版によっては、速度以外にループゲイン/スタート補正のトリマ(1個)が追加される場合があります。
名称は「Servo」「Gain」「Start」等。
まずは**“38/19”の2つ**を特定。

“ワイパーが接触せず停止”は起こりうる?

開放(無限大)側に抜けた/接触不良になると、

  • 基準電圧が失われて基準周波数ゼロ扱い→ サーボが成立せず停止/失速
  • 逆に極端な過速度になる個体もあります(基板定数による)。

すぐできる診断と応急復帰

  1. 通電前に位置を写真で記録。
  2. トリマの**全抵抗値(端‐端)**をDMMで測り、**実ワイパ位置(端‐ワイパ)**もメモ。
  3. ワイパを何度か端↔端に往復(電源OFF)して酸化膜を切る → 既定位置へ戻す。
  4. 改善すれば密閉型(ボーン/コパル等)に交換を検討。シングルターン→10~22回転の多回転密閉型に置き換えると再発予防に有効。
  5. 復帰しない場合:ワイパ断/内部割れの可能性 → 交換

交換のコツ(安全最短)

  • トリマの実測値(例:10 kΩ, 22 kΩ など)を読み取り、同値の密閉型に。
  • 足ピッチが合わなければ短いリード線でジャンパして実装。
  • 置換後は初期位置を中央にしてから校正へ。

R14

R14は、B77の“Capstan Speed Control PCB(1.177.325/326/327)”上にある速度基準用のトリムポット(10 kΩ)で、キャプスタン回転数の基準を微調整するためのものです。
フォーラム実例では「R14(speed adjust)不良で停止や不安定」が何度も報告されており、交換で改善した例があります。diyAudio

  • 部品面の上側〜右寄り、IC群(NE555/比較回路)周辺にある小型スロット式トリマがR14であることが多いです(シルクにR14が打ってある版もあります)。
  • コネクタ**P1(TACHO±/SPEED/0V…の8ピン)**の近辺から配線が戻り、**NE555のタイミング網(R/C)**に絡んでいるトリマが該当です。
  • 版差:
    • Mk-I初期(1.177.325-00等)はトリマ1個構成があり、これがR14(高速側基準)で、低速は固定比から派生。
    • 後期/派生(1.177.325-81/326/327)ではSLOW/FASTを個別に持つ構成もあり、その場合も高速側がR14、低速側は別番号(例:R…)のことがあります。※現物のシルク優先。
  • 「R14=10 kΩ」の型番メモが複数の整備メモ/交換キットに残っています(“Preset pot upgrade kit”の対応表にもSpeed control基板のトリマが含まれます)。pinkfishmedia.net+1

参考:Tapeheads/DIYaudioでは、R14を交換しても改善しない別原因(タコ配線、整流/小電解、終段TO-3、トリマ以外の酸化)も併発しうると報告あり。tapeheads.net+1


すぐできる確認と対処(R14特定~交換)

  1. 基板シルクで“R14”表記を探す(見つかれば確定)。無い場合は、上記位置のトリマの両端—ワイパ抵抗を測り、総抵抗≈10 kΩかを確認。
  2. 電源OFFで端↔端を数往復させて接触膜を削る→元の位置に戻す。
  3. 速度が不安定/停止するなら密閉型セラミック/サーメットの10kΩ多回転(10~25turn)に置換。足ピッチが違えば短いリードで延長。
  4. 置換後はウォームアップ10分38 cm/s(FAST)→19 cm/s(SLOW)の順で速度校正を2~3回往復。
    • 3 kHz基準テープ+周波数カウンタ(または高分解能チューナ)で合わせます。
  5. 併せてP1の半田クラックタコ線極性も必ず点検(ここが浮く/逆だと、R14を触っても直らない)。vintage-radio.net

パーツ一覧

※サービスマニュアルより手動で読み取り中

区分代表素子 / 型番(例)役割典型値・注記あなたの基板の目視手掛かり
★タイマICNE555N起動/保護のタイマ、パルス生成DIP-8。周辺に小電解・抵抗がセット基板中央やや右寄りの「NE555N」刻印
★比較/整形ICSN76131N(TI)タコ信号の整形・比較(PWM/誤差信号生成の要)DIP-14右側の14ピンIC(SN76131Nの刻印)
タコアンプ1.077.740(モジュール)タココイルの微小ACを増幅1.177.327ではIC2ソケット差し/1.177.325/326はトランジスタ離散で構成される版ありあなたの基板はモジュール未搭載タイプ
★パワートランジスタMJ411(TO-3)最終段ドライバ。モータへ大電流供給放熱板+絶縁マイカ/ブッシュ必須放熱板に固定された丸いTO-3(金属缶)
前段トランジスタBC171/BC107/BC177系(NPN/PNP)PWMドライブのバッファ/位相補償TO-92/TO-39混在(版差)黒い小信号Trが数本
ブリッジ整流器B250C系(丸型エポキシ)基板ローカル電源整流1–2A/200–400V級右下の丸い黒いブリッジ(~マークの足が2本)
★安全コンデンサ(X2)0.47 µF X2 275VAC(MKP)ACラインのノイズ吸収/クラック起因の暴走防止黄色の箱形。リード22.5 mmが多い右下「0.47 µF」と印字の黄色ブロック
★フィルムC(MKT/MKP)0.047 µF / 0.22 µFタイマ/フィルタ/スナバ箱形or円筒(青)右端の「.047 250」「.22J100」白ブロックなど
★電解コンデンサ4.7–220 µF / 16–50 V平滑・タイマ・位相補償Frako/Philipsが純正で多い金色ラベルのFRAKO軸電解×2ほか
小信号ダイオード1N4148/1N914保護・整流・ロジックガラスor黒樹脂赤/黒の小パッケージ多数
整流ダイオード1N400x低周波整流/クランプ50–400V級ブリッジ外付けの補助用など
ツェナー5.1–12 V級基準電圧・クランプ温度安定用に数本真っ黒orガラスのZener
★可変抵抗(トリマ)シングル/マルチターン38/19 cm/sの速度校正/ループゲイン調整2~50 kΩ帯が多い基板上部の小さなトリマ(ドライバで調整)
★抵抗器カーボン/メタルフィルム 1/4W中心バイアス/ゲイン/フィードバック1/8–1/2W混在、数本は1W級カラーバンド多数
コネクタP1 8ピン~AC/0V、TACHO±、SPEED、PERMITなどの入出力集約ピン配列は版差あり(必ず実測確認)左エッジの単列ピン
端子・絶縁マイカ/ショルダーブッシュTO-3のシャーシ短絡防止必ず新品推奨放熱板まわり
Revox B77 – Capstan Speed Control PCB 1.177.325 / 1.177.326 — Parts List (BOM)
Pos. Part No. Value / Type Specification / Comment Notes
IC1Comparator / Op-AmpDIP-14
IC21.077.740Tacho AmplifierPlug-in module / Socketed
IC3NE555NTimerDIP-8Start / Protect
Q?Power TransistorTO-3 on heatsink
BR?Bridge RectifierAC~ inputs on P1
C?Film (MKP), X2275 VAC, across AC

Revox B77 – Capstan Speed Control PCB 1.177.327 — Parts List (BOM)
Pos. Part No. Value / Type Specification / Comment Notes
IC1Comparator / Op-AmpDIP-14
IC21.077.740Tacho AmplifierPlug-in module / Socketed
IC3NE555NTimerDIP-8
Q?Power TransistorTO-3 / 製造版に依存
TRIMSpeed Adj. FAST/LOWMulti/Single-turn

カウンターの修復

カウンターそのものが壊れているということは少なく、カウンターそのものが壊れている場合も確保できます。

カウンターが動かない場合のほとんどは、ゴムか歯車が故障しているケース。(中古で購入の場合そもそもついていないことも多い)

これはセットでebayで買えますが、コスパが悪いので、国内で探すことが望ましい。

ゴムベルト部分に関しては、内径88mm x 内周276mm x 断面1.2mm角となります。

画像引用:nagravox

A700などを参照するとわかりやすいですが、こういった歯車が必要なモデルと、B77のように必要なモデルがあります。

この歯車は、nagravoxさんで25ドル。
ebayでもゴムとセットで似たような値段になっていますが、3Dプリンターで代用可能だそうで、ebayで発売されているアカウントも3Dプリンターで作成されたものを出品しています。

Toothed Counter Belt for Revox A77, B77 & PR99

代替/自作の観点では、小ベルトはT2.5(2.5 mmピッチ) or MXL(2.032 mmピッチ)のいずれかである可能性が高く、実測(10歯法)でのピッチ判定→歯数N→幅Wの3点測定が最短です。

イギリスのフォーラム

Revox A77 カウンターベルト

A77 と B77 にはそれぞれ 2 種類のカウンターがあります。

初期のカウンターのベルトはプーリーを駆動します。プーリーのシャフトのもう一端には歯付きギアが付いており、次のギアがカウンターのウォームギアを駆動します。2 つのギアが反対方向に回転するのは明らかです。

後期型の機械のベルト (ベルトが 2 本、片方は歯付き) はプーリーを駆動します。プーリーのシャフトのもう一端には歯付きギアが付いており、その次のギアの駆動には 2 つ目のベルト (歯付き) が付いており、このベルトがカウンターの次のギアを駆動します。カウンターのシャフトのもう一端にはウォーム ドライブがあります。

最初のタイプはウォームを一方向に駆動しますが、2 番目のタイプは通常ウォームを反対方向に駆動するため、カウンター ホイールには数字が逆方向に印刷されます。

歯を噛み合いタイプからベルト駆動タイプに変更すると (実行可能ですが間違っています)、カウンターは間違った方向を読み取れます。

技術者が駆動用歯車を交換しただけです。簡単です!

1975年からRevoxのリビルト業者として活躍:マーク・ガーディナー氏

ブレーキライニング

Revox A77、B77、PR99 ブレーキ ライニングの幅は 10 mm です。

1975年からRevoxのリビルト業者として活躍:マーク・ガーディナー氏

まず最初に言っておきたいのは、どちらの方向への早巻きでもストップを使うことはめったにないということです。
ブレーキに問題があれば、テープがこぼれたり切れたりするからです。
私はここ一ヶ月に何台もの機械をここを通していますが、ブレーキが済んでいるかどうかは記憶に頼るつもりはありません!
ブレーキバンドをアセトンで念入りに洗浄した後、小さなスチールワイヤーブラシを使ってドラム全体をこすり、蓄積物を取り除き、ライニングをとかします。
組み立て後、リールテーブルを通常方向と反対方向に回転させた場合の違いをテストします。
2つの方向の測定値には大きな変化があり、左のリールは右のリールと逆の動作をするはずです。
次に、ブレーキアームのスプリング位置を、その差異に合わせて調整します。
スプリングが少し疲れてきたら、最後の微調整として、図のようにブレーキアームを曲げます。
これで曲げるべき限界がきました。
2点にご注意ください。
上アームはストップピンを通過した後のみ曲げてください。
また、下アームは静止時にストップピンに触れないようにしてください。
下アームの調整は、わずかに曲げるだけで可能です。

1975年からRevoxのリビルト業者として活躍:マーク・ガーディナー氏

STUDER Brake Bands for Professional Tape Recorders