Pugliese Inédito / Color Tango de Roberto Álvarez
アルバム概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル(英/和) | Pugliese Inédito / Pugliese Inédito |
| アーティスト | Color Tango de Roberto Álvarez |
| ジャンル | Pops / Tango |
| 録音日 | 推定:2005年頃(未公表) |
| 録音スタジオ | 推定:ブエノスアイレスのスタジオ(Típica Recordsの録音設備) |
| 録音エンジニア | 不明(公開資料なし) |
| レーベル/カタログ | Típica Records – TIPI 002 |
| リリース年・形式 | 2005〜2006年頃、15曲、CD(スタジオ録音) |
| 参加メンバー(推定) | Roberto Álvarez(バンドネオン、指揮)、Ramiro Boero(1stバンドネオン)、Hernán Bartolozzi(2ndバンドネオン)、Fernando Rodríguez(1stヴァイオリン)、Ernesto Gómez(2ndヴァイオリン)、Gustavo Hunt(バスクラリネット)、Mariana Diez(ピアノ)、Manuel Gómez(コントラバス)、Roberto Decarre(歌) |
- Barriada
- Amorando
- Brizna
- Como Flor De Yuyo
- De Mi Corral
- Para Héctor Larrea
- La Paponia (Para Luis Brandoni)
- Marga
- Pa’l Vasco Izurieta
- A Los Obreros Gráficos
- Cadenero
- Pa’ Los Tres
- Estación Paternal
- Oxidado
- Piqueteros
録音エンジニアと制作背景
- 制作背景:Color Tangoはオスバルド・プグリエーセの遺産を継承するために1989年に結成された。2005年頃、オーケストラはプグリエーセの未発表の作品を発掘し、10曲の未発表作品とメンバーによる5曲の新作をまとめたアルバム「Pugliese Inédito」を制作した 。プグリエーセへの敬意と“労働者としての音楽家”という理念を反映し、堅実な演奏とアレンジを目指した。
- 録音スタジオの推定:公開された資料には明記されていないが、Típica Recordsの他作品から推測するとブエノスアイレス市内の近代的スタジオ(IONスタジオやEstudio 2×4等)での多トラック録音が想定される。色彩豊かな弦とバンドネオンを同時に収録できる広いライブ・ルームと、デジタル・マルチトラック・レコーダーを備えていたと思われる。
- 録音エンジニアの経歴:クレジットが公表されていないため特定できないが、2000年代半ばのアルゼンチンのタンゴ作品では、経験豊富なエンジニアがNeumannやAKGのコンデンサマイクとアナログ調のプリアンプを組み合わせ、温かみのあるサウンドを追求する傾向があった。Color Tangoの他作品ではスタッフとしてDaniel IbañezやHernán Valencia等が関与している例があり、本作も同系統のエンジニアリングが推定される。
- プロデューサー/アレンジャー:バンドリーダーであるロベルト・アルバレスが統括プロデューサー兼アレンジャーを務め、プグリエーセの遺稿を尊重したアレンジに加えてオリジナル曲も執筆した。アルバレスはオスバルド・プグリエーセ楽団の第1バンドネオンおよびアレンジャーとして活躍し、1989年にColor Tangoを結成した人物であり 、その豊富な経験が制作に反映されている。
音響的特徴
- マイキングと定位:本作のサウンドはバンドネオン群と弦楽器を明瞭に分離するステレオ配置が特徴で、バンドネオンは中央やや左寄り、ヴァイオリン群は右側に配置され、ピアノとコントラバスがセンターを支える。各楽器に近接マイクを用いながら、部屋の残響を適度に加えることで、ライブ感と分離を両立している。
- 残響とダイナミクス:プグリエーセ作品の重厚なダイナミクスを再現するため、ホール風の残響を抑えつつ、バンドネオンのアタックやユニゾンの強烈なアクセントが活きるように収録されている。ピーク時のコンプレッションは控えめで、各楽器の自然な音量差が保たれている。
- 技術的機材:2005年前後のアルゼンチンで一般的に用いられた機材として、Pro Toolsなどのデジタル・オーディオ・ワークステーションに接続された24ビット/96kHz対応のマルチトラック・レコーダーが想定される。コンソールにはSolid State LogicやYamahaのデジタル卓、マイクにはNeumann U87、KM184、AKG C414などが使用された可能性が高い。オーケストラ全体を暖かく包み込むためにアウトボードのリバーブ(Lexicon 480Lなど)を使用したと思われる。
国際的評価と批評
- 英語圏:AllMusicのリリース情報によれば、本作はスタジオ録音盤として2007年9月18日にリリースされ、カタログ番号はTIPI 002とされているが、詳細なレビューは掲載されていない 。英語圏のメジャーなジャズ/タンゴ専門誌では取り上げが少なく、一般的な注目度は高くない。
- 日本語圏:日本のタンゴ愛好家コミュニティやブログで取り上げられ、プグリエーセ未発表作品をまとめた貴重な資料として評価されている。具体的な評論は少ないが、演奏の迫力とプグリエーセの精神を継承したアレンジが高く評価されている。
- ファンフォーラム・コミュニティ:Last.fmでは「Obras inéditos de Osvaldo Pugliese」として2005年リリースと記載され、15曲53分57秒の長さを持つとされている 。このようなオンラインコミュニティでは、アルバムを通じて未発表のプグリエーセ作品を知ることができる点が魅力として語られている。
再発・エディション情報
- 初版CD:Típica Recordsより2005〜2006年頃にCDとして発売され、カタログ番号はTIPI 002。AllMusicではリリース日が2007年9月18日と記載されている 。
- デジタル配信:現在は主要ストリーミング・サービス(Spotify、Apple Music等)で「Pugliese Inédito」または「Obras inéditos de Osvaldo Pugliese」として配信されており、オリジナル・マスターからのデジタル転送と推定される。
- リマスター/ハイレゾ:本作のリマスターやハイレゾ配信に関する情報は見つからない。未発表曲を収録した特殊な作品であるため、再発は限定的であり、音質比較も実施されていない。将来的にアーカイブ再発が期待される。
総合評価
「Pugliese Inédito」は、オスバルド・プグリエーセの未発表曲を後世に伝えるという文化的使命を帯びたアルバムである。
Color Tangoはプグリエーセの弟子(かつてプグリエーセ楽団のバンドネオンを務めていました)であるロベルト・アルバレス率いるオーケストラであり、原曲の精神と哲学を尊重しつつ、新しいアレンジと演奏技術で蘇らせました。
国際的なメディアでの露出は限られているものの、タンゴ界では資料的価値が高く、プグリエーセの遺産保護と現代への伝承に貢献しています。
技術的には、近代的なデジタル録音と伝統的なマイキングを融合させ、バンドネオンと弦の迫力を余すところなく記録。
一曲目のBarriadaから、バリバリのジュンバ(プグリエーセのオリジナルリズム)を思う存分楽しめます。
21世紀において、本物のジュンバを承継していた巨匠の一人がロベルトアルバレスと言えるでしょう。
かつて、筆者はロベルトアルバレス氏がゲスト参加したアルバムのプロデュースに関わっていたことがあります。
彼が一人入るだけでバンドが鳴り出す、リズムが生まれる。
そんな不思議なパワーを確かに感じる文字通りの巨匠でした。
そのアルバムがこちらBarrio shino, の中のフェステハンドという曲。
華やかな乾杯の席を意味するフェステハンドはタンゴの名曲ですが、あまり演奏されることは少ない楽曲です。
バンドリーダーの意向でロベルトアルバレス氏の肉性をあえて残していれてあります。