1970年代の名フルレンジスピーカーFOSTEX UPシリーズ比較表

投稿者: | 2025年5月9日

1970年代の日本には、世界に誇る“オーディオ黄金時代”がありました。

そんな中、FOSTEX(フォステクス)が送り出したのが「UPシリーズ」というスピーカーユニットの名作群です。

本記事では、UP-103・UP-133・UP-163・UP-203・UP-203SといったすべてのUPシリーズを徹底解説。

スペック、音の傾向、価格、そして歴史的背景まで、図鑑的にまとめています。

これから自作スピーカーを作りたい方、ヴィンテージオーディオに興味がある方は必見の内容です。

キーパーソン紹介

こうたろう

この記事を担当:こうたろう

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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FOSTEX UPシリーズ 比較表

モデル名 発売年 口径(cm) 再生周波数帯域 感度(dB/W/m) インピーダンス(Ω) 定格入力(W) 価格(発売時) 特徴
UP-103 1972年頃 10 75Hz~20kHz 87 8 20 ¥3,900 SMコーン、金属ドーム、高域チタンキャップ、ダイカストフレーム
UP-133 1972年頃 13 65Hz~20kHz 88 8 26 ¥4,800 SMコーン、金属ドーム、ダイカストフレーム
UP-163 1972年頃 16 45Hz~20kHz 90 8 32 ¥6,700 SMコーン、金属ドーム、ダイカストフレーム
UP-203 1972年頃 20 40Hz~20kHz 91 8 40 ¥8,600 SMコーン、金属ドーム、ダイカストフレーム
UP-203S 1974年頃 20 40Hz~20kHz 93 8 40 ¥13,000 SMコーン、強化磁気回路、金属ドーム、ダイカストフレーム

UP-103|10cmでも本格派。小型でも音場は広い

UP-103はシリーズ最小の10cmユニットでありながら、明瞭な中高域と透明感ある音が魅力。ボーカルや弦楽器などの繊細な再生に向きます。高域にはチタン合金キャップを採用し、シャープでスムーズな伸びを実現。低域は控えめですが、小型スピーカーに最適です。

UP-133|バランス型の13cm。ジャンルを問わない万能性

13cmのUP-133は、中域の厚みと高域の伸びを両立。88dBの高感度で駆動しやすく、ジャズやクラシック、ボーカルものまで幅広く対応します。自作バックロードホーンとの相性も良好です。

UP-163|音の厚みと解像度の両立。シリーズの中核

16cmのUP-163は、45Hzからの低域再生と90dBの感度により、中低域の存在感と高域の解像度をバランス良く備えています。自然で滑らかな音調でありながら、十分な迫力も備えており、バックロードホーンや密閉型でも素直な鳴り方を見せます。

UP-203|大口径20cmでパワフル。ロックやポップスに最適

UP-203はシリーズ中最大のスタンダードモデル。40Hzまで伸びる低域と91dBの高能率により、量感とスピード感を兼ね備えたダイナミックな再生が可能。エンクロージャーの自由度も高く、ホームシアター用途にも流用可能です。

UP-203S|高出力アンプで真価を発揮。進化型スーパーUP

UP-203SはUP-203のマグネットとボイスコイルを強化した“スーパー版”。音の分離感とスピードが増し、情報量の多い音源でも精緻な音場が再現できます。クラシックの大編成、現代音楽、シネマサウンドに至るまで、現代でも十分通用する音質を持っています。