【永久保存版】オープンリール4トラック機の仕組みと使い方

投稿者: | 2025年4月10日

オープンリールテープには2トラ機、4トラ機とそれぞれあります。

この区分に加えてスピード区分けがあり、この2種類にの組み合わせによりアナログ音質が決まってきます。

詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

テープの幅・長さ・速度で音がどう変わる?

本日は4トラ機の仕組みについて理解しようというわけですが、最初に4トラ機になりますと何がメリットかっていうと、それはそれはもう運用コストにあるわけです。

10号リールでも38cmスピードなら、どんなに頑張っても45分が限界。

しかし、低速で且つ4トラ機であれば長さによりますが、数時間の録音セッションにも耐えられるわけです。

特に講演会、スピーチの録音などには最高の選択肢となるのではないでしょうか。

筆者もたまにポッドキャストで、AKAI GX-4440Dを使用します。(現在入院中)

AKAI GX-4440Dが名機と呼ばれる4つの理由 キーパーソン紹介

こうたろう

この記事を担当:こうたろう

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド[Curanz Sounds]を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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4トラック機とは?

4トラック機は「両面録音・再生」が可能なオープンリールデッキの方式です。

片面(A面)で2トラック(L/Rステレオ)を使用し、テープを裏返すことで残りの2トラック(B面 L/Rステレオ)を使用します。

この仕組みにより、長時間録音が可能であり、家庭用オーディオとして広く普及しました。

4トラック機の基本原理

オープンリールテープの幅(1/4インチ=6.35mm)を4つのトラックに分割し、A面とB面でそれぞれ独立したステレオ録音が可能です。トラック配置は次のようになります。

トラック構成(上から見た断面図)

以下の表は、オープンリールテープのトラック構成を上から見たときのイメージです。

トラック番号 用途 録音方向
1 A面 左チャンネル(Lch) 順方向
2 A面 右チャンネル(Rch) 順方向
3 B面 左チャンネル(Lch) 逆方向(裏返し時)
4 B面 右チャンネル(Rch) 逆方向(裏返し時)

4トラック機の使い方

オープンリール4トラック機の実際の使用方法はとてもシンプルです。

ステップ① A面録音・再生(1-2トラック使用)

  1. 新品のテープを左リールにセットします。
  2. テープは左から右へ移動しながら録音・再生。
  3. A面終了後、テープは右リールに全て巻き取られます。

ステップ② テープを裏返す(3-4トラック使用)

  1. 巻き取ったテープを右リールごと外します。
  2. テープを上下逆にして左リールにセットします。
  3. 再び左から右へテープを走行させると、B面の録音・再生が可能になります。

4トラック専用テープがあるの?

4トラック専用のテープというものは基本的に存在しません。
普通のオープンリール用テープ(両面磁性体が塗布されているもの)でOKです。

つまり、市販されている標準的なオープンリール用テープは
・2トラ(片面専用)でも
・4トラ(両面使用)でも
同じテープを使います。

なぜ共通のテープで使えるのか?

オープンリールテープの構造上問題ありません。

  • 磁気層は片面だけ(裏面は非磁性のベースフィルム)
  • 音は磁気層にだけ記録される
  • テープを裏返すと、磁気層が上下逆になるが、テープ表面は変わらない

4トラック機の構造上の仕組み

「どうやってテープの音声信号を分割して録音・再生しているのか?」これはオープンリール機の構造を理解する上でとても重要なポイントです。

構造をしっかり把握することで、応用ができるようになりますので、しっかり読み込んでみてください。

4トラック機では「ヘッドの物理的構造と配置」が音声信号の分割・再生のカギとなっています。

ヘッド構造の基本

オープンリールの録音・再生ヘッド(Rec/Play Head)は、以下のように「ギャップ」と呼ばれる小さな隙間を持つ磁気ヘッドを複数配置して、テープに記録された磁気信号を個別に拾っています。

  • テープ幅:6.35mm(1/4インチ)
  • 4トラック機ではこの幅を4つに分割(1トラックあたり約1.5mm弱)
  • トラックとトラックの間には「ガードバンド」と呼ばれる無音帯域が存在(クロストーク防止)

ヘッド構造(イメージ図)

────────────── テープ幅 6.35mm ──────────────
| ギャップ1 | ギャップ2 | ガードバンド | ギャップ3 | ギャップ4 |
────────────── テープ幅 6.35mm ──────────────
ギャップ番号 担当トラック 使用シーン
1 トラック1(A面 Lch) 通常再生・録音(A面)
2 トラック2(A面 Rch) 通常再生・録音(A面)
3 トラック3(B面 Lch) テープ裏返し後(B面)
4 トラック4(B面 Rch) テープ裏返し後(B面)

テープを裏返すと、物理的にトラック3・4の位置が、ヘッドのギャップ1・2の位置に来るから
です。

ヘッド自体は固定のままで、トラック位置が一致するので再生可能となる構造です。

この仕組みがあるからこそ、オープンリール4トラック機は両面再生が実現できています。

運用コストの面で本当に桁違いの差が出てきます。

空リールも考慮すると2トラ38cmだと、45分の録音で1万5千円〜2万円かかってくるのに対し、4トラ19cmだと半分以下のコストで長時間録音ができることになります。

そこからさらに小型化したのがカセットテープになります。