リフローはんだとは?通常のはんだとの違いについて

リフローはんだとは?通常のはんだとの違いをわかりやすく解説

電子回路を扱う際に欠かせない「はんだ付け」。
その中でも近年の電子機器製造で主流となっているのが「リフローはんだ」です。

本記事では、リフローはんだとは何か、そして従来の手はんだとの違いを、オーディオ機器製作や修理の観点からも解説します。

🔧 リフローはんだとは?

リフローはんだ(Reflow soldering)とは、電子基板上にあらかじめ塗布したペースト状のはんだを、加熱によって溶かして接合する技術です。
主に表面実装部品(SMD:Surface Mount Device)の実装に使われます。

✅ リフローはんだの手順

  1. はんだペースト塗布:基板上のパッドに、クリーム状のはんだを印刷機で塗布します。
  2. 部品実装:チップ抵抗やICなどの表面実装部品を自動機で配置。
  3. リフロー炉で加熱:基板全体をオーブン状のリフロー炉に通し、一定温度(およそ230〜250℃)で加熱してはんだを溶融。
  4. 冷却:はんだが固まり、部品が基板に固定されます。

この工程の「リフロー(Reflow)」とは、「再び流す(re-flow)」の意味で、ペースト状はんだを一度溶かして再び固めるプロセスを指します。

🪛 通常のはんだ(手はんだ)との違い

項目リフローはんだ通常のはんだ(手はんだ)
主な用途量産ライン、SMD部品試作、スルーホール部品、修理
方法はんだペースト+加熱炉コテを使って直接はんだ線を溶かす
加熱方法熱風・赤外線・ホットプレートはんだごて(手動)
均一性高い(機械制御)ばらつきあり(職人技)
適用範囲小型電子機器・スマホ・オーディオ回路トランス、コネクタなど大型部品
メリット自動化・再現性・高速化柔軟・部分修理・試作に強い
デメリット設備コストが高い熟練技術が必要・量産に不向き

🎛 オーディオ機器とリフローはんだ

ハイエンドオーディオでは、音質への影響を考慮したはんだの選定も重要です。
リフローはんだを使う場合でも、以下の点が音質や信頼性に関わります。

  • 鉛フリーはんだ:環境規制により主流だが、音の艶が変わると感じるエンジニアも多い。
  • 温度プロファイル管理:温度が高すぎると、基板や部品へのストレスが増加し、音質劣化の原因になることも。
  • 手はんだとの併用:大型コンデンサやトランスなど、リフローでは難しい部品は手はんだで仕上げるのが一般的。

オーディオの世界では、量産性よりも信頼性と音質の両立が求められるため、リフローと手はんだを使い分けるのが理想です。

🌱 環境面での違い

リフローはんだは、RoHS指令など環境規制に対応しやすいというメリットもあります。
鉛フリー化が進む中で、製造現場ではリフロー炉の温度管理が一層重要になりました。

💡 まとめ:リフローはんだの理解は電子工作の第一歩

  • リフローはんだは「ペースト状はんだを炉で溶かす」方法。
  • 通常のはんだは「はんだごてで直接溶かす」方法。
  • オーディオ回路では、両者を使い分けてこそ最適な結果が得られる。

リフローはんだの仕組みを理解することは、電子楽器・録音機材の製作や修理においても欠かせません。