【その先にある世界】金田式バランス電流伝送DC録音試聴会レポート

投稿者: | 2025年6月15日

はろーわーるど。
音楽家の朝比奈幸太郎です。

2025年6月14日拙宅にて開催された非公開金田式バランス電流伝送DC録音試聴会(以下金田式DC録音)。

感想・結論としては2点、1、やはり録音は大事である!ということ、そして2、金田式DC録音されたものは金田式DCアンプで再生するべきであるということ。

前回は金田式DC録音されたデジタル音源をソースに金田式ADC▶︎金田式DCアンプのルートと、Revox A77をプリアンプとして鎌ベイアンプのルートで比較試聴していました。

Revox A77に関する情報アーカイブはこちら

その際に2tr19cmのビッグバンド音源をA77で試聴していたわけですが、やはり金田式DC録音された音源は金田式DCアンプで再生しなくてはいけない。。。
というわけで今回の試聴会が開催されたわけです。

こうたろう

この記事を担当:朝比奈幸太郎

1986年生まれ
音大卒業後日本、スウェーデン、ドイツにて音楽活動
ドイツで「ピアノとコントラバスのためのソナタ」をリリースし、ステファン・デザイアーからマルチマイクREC技術を学び帰国
金田式DC録音のスタジオにて音響学を学ぶ
独立後芸術工房Pinocoaを結成しアルゼンチンタンゴ音楽を専門にプロデュース
その後写真・映像スタジオで音響担当を経験し、写真を学ぶ
現在はヒーリングサウンド専門の音楽ブランド Curanz Sounds を立ち上げ、ピアニスト, 音響エンジニア, マルチメディアクリエーターとして活動中
当サイトでは音響エンジニアとしての経験、写真スタジオで学んだ経験を活かし、制作機材の解説や紹介をしています。
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📘 補足情報
DCアンプシリーズ No.261 アナログバランス電流伝送録音システム 無線と実験 2018年10月~12月号で発表されたもので試聴しています。
MJ無線と実験2018年10月号(Amazonで購入) MJ無線と実験2018年11月号(Amazonで購入) MJ無線と実験 2018年 12月号(Amazonで購入)

試聴内容

五島先生の例えである『F1マシン▶︎金田式DCアンプ』『Revox A77▶︎ポルシェやフェラーリ』の例えは非常にわかりやすく、実際に聴いていても金田式で聴くとまさにF1の世界であるわけです。

主な比較は、順番に金田式DC録音されたビッグバンドをRevox B77(実際には走行系とヘッドだけ利用で他はすべて金田式DCアンプ)とA77(Revox オリジナルのままですが、友人であるドイツ人エンジニアが独自にちょっとだけ改造)したものをロシアンバーチの密閉12cm+スーパーツイーターというシンプルなユニット構成で試聴。

金田式DC録音はショップスMK2を使い、ステレオペアワンポイント録音、五島昭彦氏の録音になります。

筆者はRevox A77の音もかなり好みであり、正直、「おっ、A77で充分じゃね?!」的な世界線もあるんじゃないか?と期待に胸をパンパンにさせていたわけですが、いざ実際に比較してみると、、、、

二人しかいない非公開試聴会ではありましたが、満場一致(?)で市販品のみ構成のA77で聴き終わりお互いが顔を見合わせ「何かが足りないね・・・」。

うん、実際にやはり何かが足りないわけです。

A77の音は実際素晴らしく、A77の音で何か足りないと感じるというのはなんとも滑稽な状況である・・・というほど、本当に素晴らしい音がなっているわけです。

その先にあるもの

じゃあ金田式DC録音されたものを金田式DCアンプで再生すると、何が起こるのか?

やはりポルシェやフェラーリだけでは見えてこない世界がそこにはあるわけです。

音の弾け方、帯域の広がり方、そういうのはもちろんあるけど、結局そういうのはもういいんです。

音に感情が乗るかどうか?
そして音楽が踊り出すかどうか?

このポイントこそが、金田明彦氏が運転するF1で見せてくれる世界なわけです。

ビッグバンド以外のボーカル音源を聴いていてもそれは感じました。(デジタルソースから2tr38cm)

その時の素直な感想が、『スピーカーを抱きしめたくなる』。

これは、実際にスピーカーが擬人化したというレベルのおはなしではなくて、確かに音に、音楽に感情が乗り、その感情のゆらめきを感じるという作用だと思います。

A77で聴くのも素晴らしいんです。
でも金田式DCアンプと比較すると、感情の表現能力、そして音楽が踊り出すかどうか?そういう違いは確かにあるのです。

この感情表現の部分を感じ取れるかどうか?が金田式バランス電流伝送DC録音を本当の意味で楽しめるかどうかの分かれ道になるでしょう。

私たちが録音をするべき理由

みなさんも一押しのソースというのは持っていると思います。

これは非常に面白いところで、筆者はカメラもある程度触ってきましたが、カメラにハマる人は入口にこだわり、オーディオにはまるひとは出口にこだわるというマイ法則を発見したわけであります。

レンズ沼という言葉があるように、それはそれは満足できるレンズに出会うまで相当な時間がかかりますし、出会ってもなお新設計のレンズ、そうこうしてるうちに、結局ビンテージレンズがいいんじゃないか?と迷走しだし、「なんかフィルターも変えたほうがいいかもしれない」となっていくわけです。

気持ちはすごくわかりますが、カメラを趣味にしている人って印刷したりはしないし、現像は今だとオートでやってしまうという人もいるくらい、出口には無頓着だったりします。

オーディオの世界でいうと、やはり録音系のおはなしや、録音系の記事は伸び悩むというのは確かにありますし、再生環境にこだわる人口と比較すると圧倒的に少ない割合であることは確かです。

今回の試聴会で痛感したのが、金田式DC録音されたテープほど、金田式DCアンプで再生するのがマストであるということ。

そういった金田明彦氏の哲学をしっかりと受け継いだ五島昭彦氏が音楽の生命となるポイントにマイクを立てて録音する。

そういった波動が必ずアナログオーディオには伝わりますし、そこに残ります。
そこもデジタルだけでは味わえないアナログオーディオの魅力と言えるのではないでしょうか。

やはり入り口と出口、つまり録音と再生は常にセットで脳内構成しておかないと、こういう新しい世界を生み出す力というのは生まれないと改めて確信を持てました。

録音した五島昭彦氏は出口となる金田式DCアンプの音までもしっかりとイメージできている、だからこそできる録音というのが間違いなくあるわけです。

入り口と出口に意識を向けずに録音だけする、再生だけする・・・というのは、F1で例えると、まるでコース全体を下見せずにいきなり走り出すようなもの。

圧倒的な表現を得るためには高い次元で俯瞰して観る力が必要になるのです。

そういう意味でも当アカデミーでは、録音に関する知識もしっかりとアーカイブし、バランスよく発信していきたいと思うわけであります。

フェラーリにレギュラーをいれない

最後に試聴会全体を通して感じたこと、それはフェラーリにレギューラーを入れていないか?
ましてやF1に軽油を入れていないか?

パーツや銅線なんてなんでもいいんじゃないの?という人に出会ったことがあります。

でもこれはやはり妥協せずに選ぶ必要があり、ケーブルや銅線を変えるだけで驚くほど音が変わるのは間違いないと思うわけです。

これは筆者自身自分の耳で確かめてみた結果自信をもって言えます。

F1に軽油を入れても着火できないのです。

なにはともあれ、A77一つとってもここまで完璧に整備されたものは日本国内でも数えられるほどしかないでしょうし、今回の二種類の比較試聴会というのは、言葉が見つからないくらい贅沢な時間でありました。

筆者:朝比奈幸太郎は7月末には北海道の十勝地方に移住します。
北海道でまた試聴会開催できれば・・・と考えております。

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