ピアニスト西島芳が率いるアンサンブル・シッポリィの第二作『Dancing Shippolly』は、クラシックな編成を基にしながらも電子的彩りとユーモアを纏った“攻めの和ジャズ”。
前作『VERY SHIPPOLLY』の静謐な美から一転、今作はチル・ファンク・ラウンジ・ディスコ、さらにアニソン風日本語ヴォーカルまでを大胆に飲み込むジャンル越境型作品です。
リズムセクション不在にも関わらず、全編がしなやかなダンスグルーヴに貫かれ、名曲「Manteca」「It Don’t Mean A Thing」などのカバーも見事に再構築。
自由さと構築性が絶妙に共存する本作は、日本発・新世代ジャズの到達点とも言える意欲作です。
プレイズ・バラード
河村英樹による待望のセカンドアルバムは、バラードのみで構成された極めて繊細で濃密なジャズ作品。
円熟のテナーサックスが木畑晴哉の詩的なピアノと対話しながら、ひとつひとつの音に呼吸と余白を与えます。
ストレイホーン「Isfahan」やモンク「Ruby, My Dear」など名曲が並ぶ選曲は、単なるカバーにとどまらず、二人の音楽観が丁寧に染み込んだ再創造の世界。
バラードだけで一枚を成立させるのは至難ですが、河村の歌心と音の密度がそれを可能にしました。
金田式DC録音により、まるでその場に佇むような包容感と、音と音の間にある“行間”の美しさに、聴く者は静かに深く惹き込まれていきます。
関西ジャズ界の実力派シンガー、臼井優子によるライブミニアルバム『I’m confessin’』は、まるで目の前で語りかけられるような親密な空気に満ちた作品です。
大阪の名門ライブハウス「JAZZ ON TOP ACT III」での臨場感をそのまま封じ込めた本作は、金田式DC録音システムにより、息づかいまでもが克明に記録されています。
「I’m confessin’」では彼女の心の奥底に触れるような“告白”があり、「Straight, no chaser」では圧巻のスキャットも披露。
畑ひろし(g)、荒玉哲郎(b)、TARO OKAMOTO(ds)との阿吽の呼吸による演奏は、ライブならではのスリルと温かさを伝えます。
ブルージーで骨太、それでいて繊細。
彼女の人間味あふれる歌唱が詰まった珠玉の一夜の記録です。